Deadman's Reach 第九章 / Raven's Brew Coffee, Inc.

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みなさま、こんにちは、こんばんは。

大変、久々の更新となりましたが、
本日は、デッドマンズリーチ物語の第九章をお届けしたいと思います。

第一章はこちらから
※よろしければぜひ、第一章から順にお読みください。


このブログでも何度かご紹介しておりますが、
デッドマンズリーチ物語というのは、
Raven's Brewという、
僕の大変お気に入りの珈琲豆を扱う会社様の製品の中にある、
同名の珈琲豆をモチーフにした物語です。

現在、日本での取り扱いはされておりませんが、
僕の珈琲熱は、
まさにこの珈琲を口にした瞬間から始まったと言っても過言ではありません。

それほどにおいしい、そして思い入れのある珈琲豆なのです。

そんな僕のデッドマンズリーチ熱は、
やがて高まり、アメリカの本社に直接お願いをして、
ウエブサイトに掲載されていた物語を、
このブログにて、
日本語で翻訳する許可をいただいた次第です。



何ぶん素人の翻訳で、
読みづらいところなどあるかもしれませんが、
みなさまにとって、なにかしら面白いと感じていただければ幸いです。

それでは始めさせていただきます。

第9章
『不自然な仕草』


作:John Straley アメリカの著名な小説家。 
シェイマス賞受賞 等
(アメリカ私立探偵作家クラブ主催で、
警察官や政府関係者以外の主人公の作品が対象の賞)
日本語訳:Moto


アレンとボブはともかく、
込み入ったギャラリーの隅っこに腰掛けることにした。
ちょうどあのピエトロが、
彼の作品”New World Roadkill”についての説明を始めるところのようである。
(彼の説明によると、”森での興味深い生活”という、
フリースタイルによる彼のポエムからの一節だということだ)

trulydead.jpg

ケチカンの街は益々激しい豪雨に包まれ、
鳥たちはよりそいおしゃべりに夢中だ。
どす黒く曇った空は、
不気味な笑みを浮かべたゴーストで埋め尽くされている。
「ふん、でもまあ、
”本当の死”に向き合うにはもってこいの夜じゃないか。」
アレンはふと、そんなことを感じた。


ところで、現在は ”ほとんど” 死んでいる状態のアレンだが、
一応、座っては見たものの、別段朗読会などに興味はない。

そういえば会場には様々な人が見受けられる。

彼には見えるのだ。
生身の人間にも、光の鮮やかさはそれぞれで、
鮮やかな光を発する人もいれば、ぼんやりとした光の人もいるようだ。


「ああ、どうなってんだ、いったい!」
アレンはボブのほうに向き直った。
「あの...。 どうしても引っかかってしまうのですが...。
もしその、自分にとって
”かけがえのない愛” をもつものだけが見えるっていうんだとしたら、
いったいなぜ、ピエトロまで見えるんです? 
しかもはっきりと!
彼はわがままで最低で、その上ブサイクときてるんですよ?」

ボブは彼の首元でじゃれている黒い足のフェレットをあやしながら言った。
「うむ。 まあ確かに彼は芸術家としても今ひとつじゃし、
なにより彼は君に対する殺人の容疑がかかっているしな...。 
しかしこうして実際に見えているということは、
即ちその価値があるということになるかのう。」

全く釈然としなかったが、
はっきりと目に見えるのは事実なのだから、仕方在るまい。

「あ。そういえば、他にも目に見えない人ってたくさんいるんですか?」
今にも消え入りそうな声でアレンが言った。

「ああ、その通りじゃよ」

「そんな...。 もしそれが本当ならとてもじゃないけど..、
なんだか恐ろしくて公共の場になんか行けないですよ...。」
アレンはボブの話しを聞くと、がっくりと肩を落とした。

「フフフ。 冗談じゃよ」
アレンのその様子を見た ”自称 皮肉を言わないゴースト” のボブは、
やがてにんまりと笑って、軽く肘で小突いた。
(というよりも、正確にはそのような仕草があったと言うべきだろう。
なぜなら、彼らには実態そのものがないのだから)

「おや、あの子がやって来たようじゃ。」

アレンは振り返る。
ウィラだ! ウィラがこちらにやってくる。

思わず息をのんだ。
ああ、理由は分からないが、彼女のその様はとても美しかったのだ。
もしこの瞬間、自分が死んでいなかったとしてもきっと、
この気持ちを彼女に伝えただろう。 アレンはそう思った。

彼女は小柄で、
どちらかというとふくよかな体型の、普通の女性だ。
しかし今彼の目の前にいる彼女はどうだ。
張りのあるその肌はさらなる艶めきを増し、
瞳の奥は燃え盛り、まるで火花が弾け飛ぶほどにきらめいているではないか。

「彼女に触れたい...」
アレンはこの時ほど、そう感じたことはなかった。


ウィラには、若い警官が付き添っていた。
そういえばどこかで見た事があるなと思っていたが、そうか、
今朝方、アレンの部屋を捜索していた警官のようだ。

彼女は黄色いシャツに赤いセーターを上に羽織っており、
若い警官は平服のようだ。
皮のベルトをギシギシさせている制服よりも、
ずっと若く見える。


reading.jpg

ところでピエトロは徐に歩き出すと、
あらかじめギャラリーに置いてあった、2つのモニター画面の間に立った。
そして、中に何か書かれているのだろうか、
グリーン色をした紙の束を持っている。

やがて彼はまるで一流レストランの総支配人かのように、
群衆をゆっくりと見回すと、ここにいる人たちには、
自分にとってなんら価値がない存在だとも言い出さんばかりに、
あからさまにしかめ面をして見せた。

しかし次の瞬間、彼の表情がこわばった。


先ほどの若い警官とウィラの一行が立ち上がって、
ギャラリーのオーナーの方へ向かって歩き出した。

ピエトロは目でそれを追う。

ギャラリーのオーナーは彼女に軽く会釈をすると、
裏手にある倉庫のほうを指差している。

若い警官は彼女に礼を言うと、
それから細長い廊下へと向かった。

そう、あの場所である。
ピエトロが今朝、血のべっとりと付いたシャツを燃やしていたところだ。

ピエトロは警官が裏手に消えたことを確認すると、
注意深く、そろそろとドアの方へ向かった。

「あのう...。 みなさま、す、すぐに始めますから、
しばらくの間、お、お待ちくださいますか?」
半分上ずった声で、ピエトロがギャラリーの人達にそう告げると、
群衆はそれに従ってひとまず腰を下ろした。
「ええと、それから、
急な用事を思い出したので、ちょっと...いったん外に出て来ますから」
そう言い残すと同時に、後ろ手でドアノブに手をかけた。

そしてまさに今、ピエトロが外に出ようとしたその時である。

彼の行動に異変を感じたウィラが、真っ先に彼に飛びかかった。
ピエトロは倒れ込み、必死にもがき、
彼女も負けじと彼の足首を掴む。

しかし、掴みはなさじの状態はそう長くは持たなかった。


ピエトロは彼女を振り切って飛び出した。
夜の闇、雨の降りしきる遊歩道を歩く、
悲しい目をしたバイソンの傍らを通り過ぎて。
bison.jpg


「...ええと、これはつまり、
もうここで彼の朗読を待つ必要がないってことかしら?」
事態のつかめないままギャラリーに取り残された人の中から、
そういった声が聞こえ始めたのは、ごく自然なことだろう。 

そして人々は、誰からともなく、
どこかほっとした表情で夫々の席を立ち始めた。


>第10章へ進む
第8章に戻る



原文

Chapter Nine
A Shot Of The Unusual

Allen and Bob the No Irony ghost sat in the back of the crowded gallery.
Pietro was going to give a reading from his performance piece
that accompanied the "New World Roadkill" show: free verse poetry he called
"My Interesting Life with Trees." Outside it was raining hard on the streets of Ketchikan. The bars were crowded with laughing women and the air was
illed with the ghosts of the truly dead and deserving.

Allen was only nearly dead, but still he didn't think he could sit through
the reading. He watched the assorted crowd of vivid and near vivid
living people file into the gallery.

"I don't get it," Allen turned to the old ghost. "If I can only see the ones most deserving of love, why can I see Pietro at all? I mean,
the guy is a jerk and a terrible artist to boot."


Bob the No Irony ghost scratched the black-footed ferret around
his neck and said, "Well, he may be a terrible artist, and he may even be
a murderer, but he must be deserving of at least some love or you wouldn't
be able to see him at all."

"Are there a lot of people I can't see at all?"
asked Allen, his voice becoming wistful.

"No. Hardly any," the old ghost answered. "But I wouldn't go to any political conventions. It's scary." Allen looked at him, clearly distressed and confused.
"I'm kidding," Bob the No Irony ghost said. Then he jabbed Allen with his elbow, or at least tried to but without effect because they both had insubstantial forms. "Look. There's your really vivid girl." Willa walked in. She looked beautiful, and Allen thought he would have noticed her even if he hadn't been dead.
She was short and on the stout side, but this evening her skin was radiant and her eyes sparked with a heat that made Allen long to be able to touch her. She was accompanied by the young patrol officer who had been in Allen's apartment in the morning. Willa wore a yellow shirt and a red sweater. The young policeman was in civilian clothes and looked much younger than he did in uniform and creaking leather belt.


Pietro came out and stood between two video monitors.
He had a green sheaf of papers he was intending to read from.
He scanned the crowd like a maitre d' at an exclusive restaurant,
scowling as if he knew they were undeserving of the treat which lay
in store for them.
The patrol officer got up and went to speak to the owner of the gallery.
Pietro's eyes followed him nervously.
The gallery owner nodded her head in agreement and gestured toward the back storage rooms.
The young patrol officer thanked her and headed down the narrow hallway,
where earlier in the morning Pietro had burned the bloody clothes.
Pietro edged toward the door.

"I will be beginning soon," Pietro intoned, and the crowd began to settle. He edged toward the door. "But first I have to step outside." And he bolted for the door.

Willa sprang for him, grabbing his ankles, but he broke free into the night where a sad-eyed bison ambled down the boardwalk in the rain.

"Does this mean we don't have to listen to him read?"
a woman asked her date, as everyone else happily got up to leave.

Deadman's Reach Novelette © John Straley
All of our brand names, images and text are protected
by trademarks, registered trademarks, copyrights and attack-dogs with law degrees.

©2007 Raven's Brew Coffee, Inc.


いつも遊びにいらしてくれるみなさま、
本当にありがとうございます。

しばらく更新がストップしている間にも、
遊びに来て下さる人がいたり、
中にはコメントを下さるかたもいらっしゃって、
心から感謝しております。

今日は過ぎていきます。
しかし明日という未来が待っているのなら、
無限の可能性を信じて、夢を拓こう。

そんなことを考えつつ、
僕は新しい事業のことで頭がいっぱいです。


今日、ここに集ったみなさまへ、
そして、まだ出会っていない全ての人へ、
それぞれにとって、楽しいと感じることの多い、
よい一日になりますように。


Motohiro

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